独男、日々を飛ぶ

独りぼっち男の日常

有賀さつきと死に様

元フジテレビアナウンサーの有賀さつきさんが亡くなられたというニュース。


享年52歳。


御本人の意向で病名は明かされていませんが、
家族である父親や娘をはじめ、誰にも病気のことを伝えずに亡くなられたとのこと。



高校受験を控えた子どもや高齢の父に心配をかけたくなかったのはもちろん、
誰かに話せばマスコミにいずれ知られる可能性もあるため、周囲に迷惑をかけることを懸念して誰にも打ち明けなかったのでしょうか。
打ち明けないということについては賛否があると思います。
もちろん隠すことだけが美談ではなく、残された人たちのことを思うと、せめて最期に別れの言葉を交わせる時間があったらとも思います。


報道によると、
昨年末で全ての仕事に区切りをつけ、年明けにあったオファーは介護を理由に断っていたそうです。
また銀行口座の整理など、本人にしか出来ない手続きを少しずつ行っていたとのことです。(正確には遺族が出来るが手続きが大変)


今回の訃報についての記事を読み、目頭が熱くならずにはいられませんでした。


きっと、一人で告知を受け知っていたのでしょうね。
余命を。
自分はあとどのくらい生きられるのかを。


自分に残された時間がどのくらいなのかを分かっていて、老いた父や娘に迷惑をかけないよう少しずつ仕事や身の回りの整理をしていたのだと思います。


たった一人で病と闘い、死と向きあっていた。
孤独なレース。


有賀さつきさんのイメージって、
元女子アナでMステの司会をタモリとやっていて、
最近はロンドンハーツとかで離婚ネタとかをイジられていた
というくらい。


どちらかというと天真爛漫なイメージでしたが、とても芯の強い人だったのだと思います。



僕自身、自分の病気のことを誰にも伝えていません。
知っているのは主治医だけです。


そういう自分もはじめて告知を受けた時は、絶望という景色しか見えませんでした。



薬に生かされている命。
この先いつ薬が効かなくなって病状が進行するか。
その時のことを考えると不安です。


ですが、僕は一人身。
自分のことだけ考えれば良い。



しかし有賀さんは子どもがいる。
まだ中学生の娘を残して先に逝かなければならない覚悟はどれほどのものだったでしょう。
身体の痛みと闘い、死の恐怖と闘い、15歳の娘を残す悔いと闘い。
想像を絶する覚悟に胸が痛みます。


闘病の辛さを誰かに聞いてもらいたい。共感してもらいたい。
最期に会って、話したいと思いません?そこを全部断ち切って一人で旅立っていくって普通出来ない。



きっと娘さんのために、死後の保険請求や預金管理の手続きなど
きちんと専門家に依頼してあるのでしょうね。
僕も死ぬ時には、周りに迷惑をかけぬよう有賀さんのように身辺整理をしていたい。



彼女の生き様に自分を重ね合わせ、なんとも言えない気持ちになります。
自分の人生の幕の下ろし方。


孤独な闘いお疲れ様でした。
僕はずっと有賀さつきさんの死に様を忘れません。


心よりご冥福をお祈りいたします。