中米と南米
筋トレ・日常系のYouTuberのとみりゅうさんという若者のちゃんねるをたまに拝見しています。
最初は筋トレ動画の検索に出て来て、僕と同じようにジムには行かず主に自重トレーニングをされているので参考にしていました。
とみりゅうさんは一人旅に憧れているようで、どうやらタイに一か月のバックパッカー旅行に行こうとしていたのが、この新型コロナウイルスの影響でフライトがキャンセルとなり、旅自体もキャンセルすることになってしまったようです。
とみりゅうさんもかつてバックパッカーのバイブルと呼ばれた沢木耕太郎の「深夜特急」に感銘を受けているようで、
大沢たかお主演でドラマ化された深夜特急をちゃんねる内で見ていました。
この深夜特急。
バックパッカーのバイブルなだけあって名言が多い。
この日本という社会で仕事を辞めて、大学を休学して海外放浪の旅に出る人はそれなりに生きづらさを抱えている人や何かを探している人が多いのだから。
ドラマの中でも大沢たかおが原作通りにこう言っています。
「行きたいところに行き、見たいものをみる。
それで日本へ帰るのが遅くなっても、心を残してまで急ぐよりどれだけいいか。
人生と同じように旅もまた、二度と同じことをやり直すわけにはいかないのだから。」
ここね。
ここ。
僕も非常に感銘を受けたフレーズです。
このセリフはタイを旅している時のものなんですけど、でも旅が進んでネパールとかパキスタン、イランに進んで行くと、沢木耕太郎も旅がマンネリ化して徐々に旅の停滞に入って行きます。
旅に疲れてくるとでもいうかね。
バックパッカーの時に僕も全く同じことを経験していまして。
旅って最初は見るもの出会うこと全てがキラキラ新鮮なんですけど、
旅が数か月に及んでくるとそれも徐々にどれも同じに見えてきて、感動が薄くなってくる。
旅をこなす。
こんなふうになってきます。
見たいから世界遺産や景色を見に行くのではなく、近くにいるのだから行く。
そんなふうに、こなすようになってきます。
そんな僕も「人生と同じように旅もまた、二度と同じことをやり直すわけにはいかない」ということを忘れ、
「あの時なんであそこに行かなかったのだろう」と後悔していることがいくつもあります
思いだすだけでも、
①イランのマシュハド
②トルコのカッパドキア
③モンテネグロのコトルの景観
④イースター島
⑤ガラパゴス諸島
⑥メキシコユカタン半島のセノーテやチチェンイツア
⑦グアテマラのティカル
⑧ウユニ塩湖行ったけど、雨水張ってあの有名なガラスの景色になるまで待たなかった
⑨ベネズエラのエンジェルフォール
⑩グアテマラ以外の中米(ベリーズ、ホンジュラス、パナマ、ニカラグア、エルサルバドル、コスタリカ)
まだまだたくさんあるし、あげたらキリがないんだけど特に中・南米はさ。
遠いよね。
遠いんです。
旅の停滞期というか、旅の最中に自分で気づくわけです。
あー、旅をこなしてるなって。
ドキドキワクワク感は薄れ、義務になっている。
せっかく近くにいるのだから、あれもこれも見に行かなくちゃって。
それが嫌になって、僕は予定を早く切り上げ帰りのチケットの日付を変更し日本へ帰ってきました。
だからせっかくチリに行ったのにイースター島に行かなかったし、エクアドルに行ったのにガラパゴスへ行かなかったし、コロンビアから北上すればよかったのに中米5か国をすっ飛ばしてコロンビアからメキシコまで飛んだ。ぎりぎりグアテマラだけは行ったけど。
だから今でも痛烈に後悔しているのは④イースター島と⑨エンジェルフォール⑩中米
とみりゅうさんはかなり深夜特急に感銘をうけているようなのですが、
バックパックの準備とかを見ていると、捉え方がやや古くて、
10~20年前のバックパッカーをイメージしているように見受けられました。
いまはノマド旅人と形容される人たちがとても多く、
カフェやWi-Fiが充実した街や宿に滞在し快適に旅をしています。
ネットで全てが完結する時代ですし、情報が手に入る時代。
その情報で美味しい店やら宿も予約も全て出来ます。
僕がバックパッカーだったときは、
だれかと連絡を取る時はネットカフェを探さなければならなかったし、
スマホもグーグルマップなんてないから紙の地図をコピーして持ってました。
泊まる宿はまずそこの地に着いたら安い宿を探し、値段交渉。
値段が折り合わなければ、重いリュックを背負ったまま次の宿を探す。
ガイドブックにも載っていない町だと、
ひたすらそのへんの誰かに安い宿を聞いて探し回って。
それこそ世界各地を旅する旅人が書き込んだ「情報ノート」目当てに日本人宿に泊まったり。
バックパッカーのバイブルとはいえど、今の時代のバックパッカーは簡単に情報が入るので、
深夜特急の世界観はちょっと古い。
あの時の自分の旅をやりなおすことなど出来ないけれど、
人生と同じで今振りかえるとなぜあの時ああしなかったのかこうしなかったのかという後悔ばかり。