星野のおばあちゃんと僕
まだ20代の頃のことです。
星野さんというおばあちゃんが近所に住んでいました。
おばあちゃんは僕を見るたび「いい男だね~」と言ってくれました。
褒められて悪い気がする人はいないでしょう。
たとえ相手がおばあちゃんであっても。
普段そんな褒められることのない自分は、「そんなことないですよ」と謙遜しながらもとても嬉しかった。
たまに顔を合わせては挨拶を交わす程度でしたが、そこまで自分を褒めてくれた人のことはなかなか忘れません。
その後おばあちゃんは白血病で亡くなりました。
僕はおばあちゃんの人生に顔を出しはしたが、おばあちゃんの人生の住人ではありません。
逆もしかりです。
それでも、たまーに星野のおばあちゃんのことを思い出します。
いつも僕を褒めてくれてたなーって。
僕の記憶の中ではおばあちゃんは生き続けています。
星野のばあちゃん元気かな。