独男、日々を飛ぶ

独りぼっち男の日常

白と黒

仕事はお金を稼ぐための手段と思っている。


よく「趣味を仕事に」とか、「皆で仲良く」など言う人がいる。
それが実現しているのなら素晴らしいことだが、私には当てはまらない。

そう思うようになったきっかけがある。

以前複数名で仕事の話をしている最中に、目上の人の発言に対して私は面前でこう言った。

「私はそうは思いません。それは~」

その他大勢の人がいる中で、一瞬にしてその場の空気が凍りついた。

私は未熟でバカな人間であるが、適当に発したのではなく、どうしても納得いかなかったからこそ提言した。
だが、正義感や良心、使命感などから自分の意見を貫き通そうとしても、時に無意味で自分が損する。邪魔なだけだ。


昔、まだ学生の頃。
当時の就職した先輩に「上の人が白いものを黒だっていったら、たとえそれが間違っていたとしても、自分も黒だって言って合わせなければならない時がある。自分らしさは無くさずに引き出しにしまっておいて、周りに合わせることが大切なんだよ」と言われたことがある。

思えば、その先輩も社会に出て、そのことを実感していたのだと思う。

世の中、白黒はっきりさせるよりも、グレーの方が心地良いことがある。
世渡り上手になった方が生きていくことは楽だ。
特に仕事においては。


そういう私もグレーの中で生きるようになった。
それは仕事は人生を豊かにする手段ではなくて、単にお金を得るための手段と、諦めたからである。

食べていかなくてはならないから。
病気の治療費用を払わなくてはならないから。

こんな自分に働く場所を与えてくれて、収入を得ることが出来る今の仕事に感謝している。だからこそ、余計な正義感や使命感などという感情は捨てるべきなのだと思う。

でも、自分の抱える病気のことを考えると、今の場所にもそう長くはいられないと思う。とりかえしのつかないことになる前に。