独男、日々を飛ぶ

独りぼっち男の日常

潮騒と微風

サッカー日本代表西野監督がベルギー戦で負けた後のインタビューで「何かが足りないのでしょうね」と言っていました。


これはサッカーだけに限らず、バレーボールとか団体スポーツの日本チームに共通することだと思うのですが、あと一歩のところで「何かが足りない」。


もう単純にフィジカルの差だとも思うのですが、その何かはけっこう埋まらない差だったりして。


で、この一言で思い出したのですが、自分も同じことを言われたことがあります。


バックパッカー時代。


アルゼンチンの最南端にあり、南極行きの船が発着するツアーで有名なウシュアイアという町で出会った旅人からでした。


当時自分はまだ20代半ばでしたが、その人はとても男気のある兄貴肌の人で夫婦で旅している人でした。


仲良くしてもらい、僕はかめちゃんというニックネームで呼ばれていました。
人間としてかっこいい人でしたがその人から「かめちゃんは凄い良い奴だと思うんだけど、男として何か足りないというか太いものがないんだよな」と言われました。


がつっと頭を殴られたような気分でしたね。
自分でもなんとなく分かってたことだったので。
それを旅先で会ったばかりの人から言われて。
でも言われて嬉しくて。
どうでもいい奴だったらそんなこと言ってくれないと思いますし、その人は僕のことを思って言ってくれているのがよく分かったので。
そして男として、人間として尊敬できる人だったので。


そんな風に自分のことを諭してくれる人がいたのに、あれから10年。
何も変わらずに僕はここまで来てしまいました。


すでに亡くなられていますが、その宿は「上野のおばあちゃん」という日本からアルゼンチンへ移民された方が宿を経営されていて、上野のおばあちゃんに会いにウシュアイアまで来たという旅人がいるほど、南米を旅する日本人旅行者なら知らないものはいないというほど当時有名なおばあちゃんと宿でした。


愚か者。