人工と肛門
前の職場で直腸がんに患った人がいました。
その人は手術で人口肛門となる可能性があり、手術前に「人工肛門だけは絶対に嫌だ。医者になんとしても人口肛門だけは避けてほしいとお願いした」と話していました。
人工肛門になって命拾いするか、人工肛門にならずに死ぬかといった究極の選択だったようです。
結果、その人は人口肛門になりました。
手術前にあれだけ嫌がっていた人工肛門。
手術後に会った時に、なんて声をかけていいか分かりませんでした。
とりあえずお疲れ様でしたのような言葉を伝えると、
その人がこの歌を歌いました。
「これで~いいのだ~、これで~いいのだ~」
僕は「え?どうしたんですか?」と尋ねると、
「これで~いいのだ~、これで~いいのだ~ぼんぼんバカボンバカぼんぼん」と続け、
それ以上は何も語りませんでした。
人生にはどうにもならない出来事がたくさんあり、その困難に直面した時には「なんで・・・」と強く思います。それでも生きて行かなくてはならない。
今はその人と連絡をとることもなく、今もご健在なのか知る術もありませんが、時々思い出すことがあります。
元気でいて欲しいなー、と。