ついでの人と無言坂
バレンタインデー。
美味しそうなチョコレート等が店に並んでいました。
恋人同士や友チョコ(すでに死語?)の人たちは一大イベントでしょうが、
本来は独男にとっては何の関係もない1日のはずです。
ある一点を除いて。
自分も勤め人。
例に漏れず「職場での義理チョコ」という迷惑なシステムがあります。
同じ係の人には「自分はバレンタインのお気遣いはいらないです」と断っているのですが、他の係の人たちが上司に渡す都合上ついでに一応自分にもくれるのです。
もらったら返さないといけないので、それを考えるのが面倒くさい。
彼女たちも「ついでの人」のためにたとえ数百円でも負担が生じてしまいます。
だから今年は失礼と分かりながらも事前に伝えました。
「今後自分への心遣いは無用です」と。
何様?と思われたことでしょう。
ですが、職場で「バレンタインデーだから」という責務でやりとりするチョコレートになど何の意味もありません、互いに。
真剣にそう思っています。
特に自分は職場では周囲と距離をとっているので、この無用なイベントで下手に交流をもちたくない。
悪習以外の何者でもありません。
ただ、こういったイベントを楽しむことの出来ない自分を情けなくも思います。
普通の男性は今年はどんなスイーツをもらえるのかな、なんてワクワクしたりもするでしょう。
普段食べられないような少し高めのチョコレートを互いに楽しむなど、そういう前向きさが人生を楽しくするコツだということは分かっています。
でも僕は「普通」ではない。
「一つもチョコレートをもらえないだなんて惨め」といった、青春の一ページにも似たような思いを抱く時期などもうとっくに過ぎました。
こうして世間との繋がりをひとつづつ断っていくとその先にあるもの。
分かりきったことしかありません。