恐と凶
久しぶりに兄から電話がかかってきた。
自分「もしもし」
兄貴「もしもし。〇〇?ちょっとお前のアパート名教えて」
自分「〇〇」
兄貴「部屋番号は?」
自分「〇〇号室。住所はいいの?」
兄貴「住所はいらない。(電話の向こうで)〇〇の〇〇号室だってよ」
兄貴「どんぴしゃだな」
自分「何でよ?」
兄貴「うちの会社の人が最近引っ越しして、場所聞いたらお前が住んでる辺りだったか
ら。そのあたりに何軒かアパートあるだろ。で、その人も気になったみたい。
で今聞いた住所言ったら、お前の部屋の隣みたいよ。挨拶には行っ
てないけどよろしくだってよ。今新年会やってて、一緒に飲んでるんだよ。ま、
すれ違ったら兄貴がお世話になってますってくらい言えよな」
最恐に最悪だ。
個人情報もくそもない。
こんな偶然はいらない。
僕は病気という荷物を抱えて一体どこへ逃げればいいのだろう。
どこも逃げるところなどないじゃないか。
包囲網はすぐそこまで来ているような気がしている。