独男、日々を飛ぶ

独りぼっち男の日常

ワダツミと木

今日は自分の定期通院日でした。

 

午後だけ休暇をとり、昼までは仕事をして急いで職場を後にしました。
風も穏やかで車内はポカポカ。
病院へ向かう道中は「このまま病院ではなくどこかへ出かけたいな」と思うような天候でした。


病院に到着して診察に呼ばれる順番を待っている時、待合の隣で車いすに乗った初老の男性が入院の説明を受けていました。車いすを押していたのは奥さんだったと思います。どうやらこれから入院のようです。

その光景を見ていてふと考えました。

もし自分が今日の受診で急に入院するように言われたら、誰に来てもらうのだろう。
誰にお願い出来るだろう。
下着やパジャマ、洗面道具とかの準備や、入院の保証人に誰になってもらうのだろう。

兄弟はいますが、みなそれぞれ家庭や仕事があって忙しいため自分のことで迷惑をかけたくありません。
親父は健在ですが、抗がん剤治療中で副作用もかなり辛そうです。

なにより、家族には自分の病気のことは一切伝えていません。

まして職場の人になんて頼めないし、友達はいない。恋人もいない。
自分で入院の準備をしにアパートに一度帰らないとだな・・・
そのために、もしもの時のことを想定してボストンバッグにパジャマとか下着くらいは準備しておかなければな・・と思いました。


これから入院する初老の夫も、家と病院の往復生活をしなければならなくなる妻も、どちらも大変なことに変わりはありません。入院が必要なほどの何か病気や検査があるから入院するのでしょうし。

幸いにも今まで入院経験はありません。
それでも、待合室で一人で診察を待っている自分。
夫婦二人で入院の説明を受けている初老の男性。

同じ困難であっても、彼の隣にはいつも奥さんがいるのでしょう。
どちらかが死ぬまでは。


車いすに乗る初老の男性の足には、温かそうなひざ掛けがかけられていました。

 

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