独男、日々を飛ぶ

独りぼっち男の日常

勇者と下衆


平昌オリンピックのこと。
今日帰ってきていつもどうりにテレビを点けた。


TBSの夕方のニュースでは、フィギュアスケートのペアショートで北朝鮮の選手とその美女応援団が取り上げられていた。
で、予選落ちした日本の木原・須崎選手のことについては「彼らが演技している間は美女軍団はにこりともしなかった」という姿を放送する題材としてだけ取り上げられていた。


マジばかばかしい。
腹立つわ。


そりゃぁ報道としては政治・国際ネタも大事だ。
ただ今回はスポーツである。
北朝鮮ペアとその美女応援団」についてよりも、日本ペアを優先して取り上げるべきではないだろうか。


北朝鮮の選手や美女応援団などどうでもいいこと。


日本においてフィギュアスケートはシングルにばかり注目も人気も集まるが、欧米ではペアやアイスダンスも非常に人気があるのだという。
しかし日本では練習するためのリンクもなく、十分な練習環境が整っていないため海外にも渡り技を磨かなければならないそうだ。


木原選手も須崎選手も元々はシングルの選手で、
木原選手は4年前のソチオリンピック前に協会からの依頼で本人の意図ではなかったペアへ半ば無理やり転向をした経緯があるという。
自ら望んだ転向ではなかった。


その木原選手の今日の演技する姿を見て、ソチ代表の鈴木明子が「楽しそうに演技をする龍一を見て涙が止まらない」とコメントしたという。


一昨日に団体を解説していた町田樹も「ペアやアイスダンスのカップル競技は恵まれない練習環境の中でも近年確実に力をつけてきていてがんばっている。注目してほしい」と話していた。


それに比べ、羽生選手は練習風景ですら大きなニュースになる。


2連覇の期待はわかるけど、テレビはもっと普段陽の当たらないマイナー競技や選手にもオリンピックだからこそ取り上げてあげるべきではないだろうか。
多くの人がテレビで見ているのだから。
たいした美女でもないどっかの国の応援団を取り上げるよりも。


メダルを獲った選手もそうでない選手にも様々な努力や思いがあるはずだ。


そして、髙梨沙羅選手をはじめ女子のスキージャンプ選手が今日帰国した際に、
会見場で一人のカメラマンがメダルを持つ髙梨選手を3人が後ろから指を差すという図での写真撮影をリクエストしたという。


しかし、髙梨選手はそれを「自分だけで獲ったメダルではなく皆の力で獲ったものなので、自分を囲んでみんなが指をさすのはおかしい。それは出来ない」と断わり、4人で肩を組むショットに変更されたという。


髙梨選手が会見で語った言葉や、伊藤選手が直後に駆け寄って抱き合ったあの姿をきちんと見ていれば、そんなこと普通言えないだろバカカメラマン。
へどが出る。

髙梨選手よく断った。
他の3選手も悔しいはずなのに、自分のことのように髙梨選手を祝福して喜ぶ姿は本当に美しかった。

髙梨選手もそれをよくわかっていて、自分だけのメダルじゃないと言い断った。
共に闘った仲間への思いやり。
本当に素晴らしいチームだし、選手。
全員が技術だけでなくその人間性もメダリストに値すると思う。


オリンピックを見ていて、選手たちはみな頑張っているのにそれを報道する人たちにクソが多いと思った。


友人も恋人もおらず、休みの日にもどこも行くところがない俺と同じくらいクソだ。