仮面とスポーツカー
僕の下の部屋に住むおねえちゃんの部屋に男が来ている。
思わず大黒摩季の「チョット」のサビが脳内リピートする。
チョット待ってよ。
あんたもですか。
昨日から白いスポーツカーが駐車場に停まっていて、古いアパートは壁も薄く男性の声がよく響く。
お泊りですね。
このおねえちゃん、少々変わっていて、アパートの1階に一人暮らししているのに昼間仕事に出かけている時もカーテンは開けっ放し。
覗こうと思えばいくらでも覗けます。
さらにトイレや台所の窓も開けっぱなし。
僕の方が帰宅が早いので、帰ってくるとおねえちゃんはいないのにいつもカーテンと窓が開いている。
年齢は30代くらい。
おそらく僕と同年代くらいなのではないかと予想します。
まぁそこそこいってますよ。
人のこと言えないけど。
おねえちゃんも僕と同じ「おひとりさま組合員」かと思っていたら、スポーツカーに乗る彼氏がいたのでしょうか。
まぁ仕事以外は部屋にひきこもっている僕は必然的にアパートにいる時間がどの住人よりも長いわけで、見慣れない車が停まっていればすぐに分かるし、アパートの住人模様も長く住んでいれば分かってきます。
田舎の小さいアパートですから。
一階に住むおねえちゃん、ごめんなさい。
勝手におひとりさま組合員かと思い込んでいました。
でもそうだよね。
おねえちゃんいつも土日はアパートにいないし。
一つだけお願い。
チョメチョメする時は声に気を付けて。
このアパートの壁はめっちゃ薄いから。
独男はただでさえ眠りが浅くて不眠気味なのでお願いね。